『地域世界』は、LOCIの中心となる叢書です。
『地域世界』の刊行にあたって
『地域世界』は、地域の物象、事象を誌す書物である。
郷土誌(史)、地域誌(史)に似るが、本書の動機は、郷土や地域がもつ目的への関心を維持しながら、それら目的のいかんにかかわらず、郷土、地域が生まれてきた理由、生まれてゆく理由を物象、事象に問おうとするところにある。
「地域は、その物象、事象をして、じしんをいかに実現せしめるのか」を、学術と芸術の、さまざまな形式の表現を介して、考えてゆくことができれば幸いである。2021年6月
(『地域世界』1 から)
NEW! 『地域世界』7
2024年1月20日刊
A5判並製
本文52ページ
定価660円(本体600円+税)ご注文
ISBN978-4-9912051-7-0
目次
上志段味羽根の城跡………犬塚康博
観光による博物館の「産業合理化政策」とどう対峙するか………内田洋隆
収容所の博物館、占領期の博物館(博物館と主権に関するノート)………犬塚康博
概要(本書から)
「上志段味羽根の城跡」は、本叢書1冊めで扱った志段味城に関する研究の続編である。「観光による博物館の「産業合理化政策」とどう対峙するか」は、学術的資産と経済活動との矛盾の止揚について考える。収容所の博物館、占領期の博物館」は、表題の事項を通じて自明の主権を照らし出し、GHQ主権下の博物館三項(『新しい博物館』、国立科学博物館でのレッドパージ、博物館法)が、現在の私たちの主権に属することなのかを問う。
NEW! 『地域世界』6
2023年11月1日刊
A5判
本文44ページ
定価660円(本体600円+税)ご注文
ISBN978-4-9912051-5-6
目次
東岸居士旧跡の研究―名古屋西区「東岸居士の墓碑」の変容過程………犬塚康博二論文補遺―「稲生原古戦場跡の世界」と「「霊火の妻問ひ」と惣兵衛川」………犬塚康博
概要(本書から)
「東岸居士旧跡の研究」は、現在、名古屋市西区にある公称「東岸居士の墓碑」が、江戸時代に「東岸居士旧跡」と呼ばれて以降、場所と性格をどのように変えてこんにちに到ったのかを検討する。「二論文補遺」は、江戸時代の地誌『張州雑志』を参照して、「稲生原古戦場跡の世界」(『郷土文化』第76巻第1号、2021年)と「「霊火の妻問ひ」と惣兵衛川」(『地域世界』5、2023年)とを補う。
NEW! 『地域世界』5
2023年5月1日刊
A5判
本文58ページ
定価860円(本体782円+税)ご注文
ISBN978-4-9912051-4-9
目次
「霊火の妻問ひ」と惣兵衛川──名古屋北西部低地の論理………犬塚康博文化財はコンテンツか──プラットフォーム・ビジネスの浸潤………内田洋隆略奪文物返還問題備忘録………犬塚康博概要(本書から)
「「霊火の妻問ひ」と惣兵衛川」は、地域の伝承から、地理、歴史を考える。「文化財はコンテンツか」は、前の巻を承け、世界遺産北海道・北東北の縄文遺跡群、小川原湖民俗博物館の事例を踏まえながら議論を発展させる。「略奪文物返還問題備忘録」は、現象の記述を通じて、文化財保護や文化遺産、博物館が、帝国主義戦争に動員される現状を見てとる。
NEW!『地域世界』4
2022年11月1日刊
A5判
本文48ページ
定価730円(本体664円+税)ご注文
ISBN978-4-9912051-3-2
目次
木場一夫『新しい博物館──その機能と教育活動──』の研究………犬塚康博いま一度、文化財という公共財を考える──NFTの参入を唐古・鍵 考古学ミュージアムに臨む………内田洋隆吉根の地下壕と小牧飛行場──小林茂埜「召集の思い出」を読みかえす………犬塚康博概要(本書から)
本書に掲載した、博物館史研究の論文と地域誌のノートは、『地域世界』3 の三論文を受け継いでいる。文化財の経済社会学の論文は、博物館史研究会の研究誌『博物館史研究』№13(2003年)に掲載された論文の続編となるもので、地域の複数性を展望しながら、事象、物象に対する処遇の現在を問う。
『地域世界』3
2022年3月1日刊
A5判
本文66ページ
定価900円(本体818円+税)ご注文
ISBN978-4-9912051-2-5
目次
未発の資料館──名古屋市守山区吉根の区画整理と博物館体験──………犬塚康博井尻正二の「大学的研究と博物館的研究」をめぐる博物館研究の史的検討………犬塚康博1940年代前半東京科学博物館の団体研究と「開放された大学」………犬塚康博概要(本書から)
本書には、博物館史研究の論文3編を収録した。1980年代前半の名古屋市守山区吉根と、1940年代前半の東京科学博物館という、時間と場所は異なるが、無視、盗用、パージされた博物館体験を誌し、それらの意味を考察した。
*東京科学博物館は国立科学博物館の前身。
『地域世界』2
2021年10月1日刊
A5判
本文54ページ
定価750円(本体681円+税)ご注文
ISBN978-4-9912051-1-8
目次
吉田富夫の西志賀世界………犬塚康博吉田富夫の遺跡公園論と博物館論………犬塚康博赤星直忠の「歴史観」………内田洋隆概要(本書から)
本書は、地域が考古学的、博物館的にいかに生きられたのかを、神奈川の赤星直忠氏(1902–1991)と名古屋の吉田富夫氏(1912–1971)の思想と実践にたずねた。それは、遺物・遺構・遺跡、遺跡公園・博物館のいかんにとどまらない、歴史観を地域がどう体験したのかへの問いでもある。
『地域世界』1
2021年6月1日刊
A5判
本文46ページ
定価700円(本体636円+税)ご注文
ISBN978-4-9912051-0-1
目次
志段味城の可能性―天白・元屋敷遺跡から湿ヶ遺跡へ―………犬塚康博天白・元屋敷遺跡の南方を仰ぎみる………内田洋隆天白・元屋敷遺跡の歴史地理学と「志段味城」………犬塚康博概要(本書から)
本書に収録した論文3編は、名古屋市守山区中志段味にある天白・元屋敷遺跡を契機にして書かれている。いずれも初出だが、講演原稿を論文化したものを含む。同遺跡をめぐる、2010年代の破壊、調査、保存、活用の体験の小括を企図して編んだ。